主に北海道の廃墟と歴史民俗事象を中心に探索撮影しています。(半ば自分用の備忘録も兼ねています) 
重要↓
当サイトでは主に廃墟と墓地を中心に扱っておりますが、どちらも郷土史研究、または美術性、雰囲気を楽しむものとしてまとめているもので、オカルトもしくは肝試しと言った目的意味合いを一切持っておりません。閲覧の際はご了承下さい。
また、文章や画像の無断転載はおやめください。


【2017年、最近のお知らせ】
・1/2 コミケ帰りにさっそく2017年廃初め。
・1/28 札幌方面廃墟プチ遠征
・2/18 道央方面廃墟遠征
・2/25 千葉廃墟遠征の旅。カステラの土産はもう要らない。
・3/18 東北方面廃墟探索・調査
・4/22 ここに並べていた「2016年の主な活動」をひとまとめにしました。
http://hanatare-ruins.doorblog.jp/archives/51937720.htmlからどうぞ。
・5/3 中国地方廃墟旅。もうしばらく山陰山陽には行かなくて…いいわけねえだろ!(帰投後も続々現れる新物件)
・6/17 夏コミ用資料収集も兼ねて秋田山形廃墟旅(兼ねるとは)
・6/24 北コミティアも兼ねて道東廃墟旅(兼ねるとはその2)
・8/14 夏コミも兼ねて四国廃墟旅(兼ねるとはその3) 真夏の四国はやはり良い

C91、冬コミ新刊『Focusite No.01 旧和賀川発電所遺構群』のお知らせ&通販のお知らせ

もはや恒例になったコミケ前更新。そう、薄い本の告知です。
でも、今回は『廃録』シリーズじゃあありません。C91から当サークルでは『Focusiteシリーズを刊行していきます。まあ、やることは「廃墟調査探索・史料写真集」なので大して変わらないわけですが…
写真の増量、一つ一つのサイズも大きくし、廃墟にあまり関係のないお話をカットして文の量を少なくするなど、廃録シリーズでできなかったことを中心に、個人的な野望、読者の方からの要望などに応えるために新たに構想した内容でシリーズリニューアルしました。

廃録シリーズでは、テーマに沿って複数の物件を紹介していましたが、それだと関係のない文の量も増えるうえに、各物件の写真の量も少なめになってしまうので、思い切って1つの物件にしぼり、本自体のサイズもA4にしました。
コンセプトは「JRの席に置いてある車内雑誌」です。

ちなみにタイトルの由来は
1つの「廃墟(つまり遺構:Site)」に「焦点(:Focus)」を当てて、紹介する本。
「Focus」+「Site」=Focusite
です。 センスねェとか言うな。


  • 新刊情報

相変わらず前置きが長くなりました。
記念すべきNo.01は東北の山深い渓流沿いに残る巨大発電所「和賀川発電所」を特集します。
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まともな陸路もない、渓流の向こう側というアクセスの困難さから、廃止されて半世紀もの間人の手による破壊を一切受けずに残ったその建物。
内部は緑にのまれ、静かに荒廃していく白い巨大空間が広がっている。
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そして、地下にはその美しい姿からは想像もできない黒く恐ろしい世界が口を開けている。
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それが廃墟、和賀川発電所です。
『Focusite No.01 旧和賀川発電所遺構群』は、そんな和賀川発電所の誕生から廃止までの経緯、現役当時の史料、地形図などを交えながら、その魅力を徹底解説。周辺部、内部、そして地下部分まですべてを網羅した本になります。

  • 内容
大きく分けて、2部構成です
まず、第1部では、和賀川発電所の周辺部と地上部分を解説。
緑と白に覆われた現在の姿と、この建物が廃墟になるまでの話も一緒に堪能できます。
サンプル03
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第2部では、主に地下部分。発電所へ水を運ぶ地下導水隧道部を中心に記述。少しだけ水力発電の技術も解説しています。
暗黒の一本道の先にあったものは…?  最深部の光景まできっちり掲載しました。
サンプル04

ページ数は28P、もちろんフルカラーです。

  • ほか新刊(?)&既刊を含めておしながき
当日はこの他にも、11月の北海道コミティア新刊『開拓者の骸』(北海道の炭鉱、廃校などのモノクローム写真集)、前冬コミ夏コミ既刊の『廃録 Vol.4』(函館の近代建築系廃墟特集)、『廃録 Vol.3』(羽幌炭砿の廃村となった街特集)も持って行きます。
おしながきを載せておきますので、ご参照下さい。
45025868_p47
なお、いつものごとく会場限定でペーパーも置いておきますので、そちらはご自由にお持ち帰りください。

今回のサークルスペースは、なんと出来立てホヤホヤの東7ホール。
変な形してるし、一度外に出ないとならないしで、少し面倒な立ち位置ですが、西ホールよりはまだいいかも…。
とにもかくにも、12月30日(金)、東 i-23bにてお待ちしております。
無題ここだ
このポスターが目印です↓

A1縦


  • 通販は…?
さて、いつもの通販ですが、今回もCOMIC ZINさんにて委託販売&通販をしていただけることになりました。
というわけで、もし会場へ行けないけど欲しいという方がおりましたら、下記のリンクから通販にてご購入いただけると非常に幸福です。(12月31日追記:直接購入可能ページへのURLをはりました)
http://shop.comiczin.jp/products/detail.php?product_id=30798

最後に、コミケWebカタログのページも貼っておきます。
https://webcatalog.circle.ms/Circle/13016802
見られる方はこちらもどうぞよろしくお願いいたしますね。 

長々と書き連ねさせていただきましたが、もし興味がありましたら、この冬はなにとぞ当サークルへお越し下さい。…待ってます。
それではまた。 

11月13日(日) 北海道コミティア5参加&新刊のお知らせ

日本の同人グッズ頒布イベントとして一番有名なものといえばなんといってもコミックマーケットだが
もう一つ有名株としてコミティアというものも存在する。

何が違うの?と言われるとなかなか回答に困る。
前者は頒布物としていわゆる二次創作OK、後者は二次創作が原則禁止でオリジナルに限るといったルールがある。 また、コミティアは東京だけでなく、各地方都市でも開催されており、北海道では札幌で開催されている。 

コミケに何度か参加する中で、北海道コミティアにも出たい出たいと思ってはいたのだが、原稿に割ける時間や資金面での都合がつかず、見送って来た。
それが今回やっとこ目処がついたので、めでたく北海道コミティアに初出展することになったわけでした。 やったぜ。


…毎度のこと、前置きが長くなりました。
今回の頒布物は何になるかというと、普段の写真<文な廃墟研究・史料写真集ではなく
純粋なる「北海道の廃墟写真集」になります。
実は、完全に「写真集」といえるような同人誌を出すのは初めてだったりします。

タイトルは『開拓者の骸』
こつこつ撮りためた北海道の廃墟、それも産業・学校・歴史系のものにしぼって集めた本です。
表紙a

今回のタイトル『開拓者の骸』は、以前から北海道の産業廃墟系の作品で使いたいと暖め続けていた私自身のお気に入りタイトルです。
北に入植・誕生し、日本の近代化と復興を支えながら、社会の変動によって潰えていった数多の廃墟たち。
「開拓者の骸」とは、北海道の廃墟そのものです。
その横たわる姿を、重くて厚く表現できる白黒版で詰め込みました。

大きさはいつものごとくA5版ですが
右綴じではなく、天綴じ(方眼紙やカーボン紙のようなめくり方をする本)になってます。
普段は小さい写真になっているものも今回は1Pにまるごと1枚使っています。作ってる側としては「ああなんて贅沢なの…」なんて思ってます。

名称未設定-2

28P、価格は1部¥800です。
カラーもいいですが、やはり廃墟は白黒も似合います。

また、当日は夏コミにて頒布した函館の廃墟・近代建築本『廃録 Vol.4』のほか、
昨年の冬コミで頒布した、道北は羽幌炭砿とその旧炭鉱街の廃墟をまとめた『廃録 Vol.3』も持って行きます。
興味のある方がおられましたら、なにとぞよろしくお願いいたします。 
4表紙aさんぷる

さんぷる13

というわけで、また販促更新となりましたが、11月13日(日)
ホテルさっぽろ芸文館(旧北海道厚生年金会館)3Fロイヤルホール スペース番号I-14へお越しくださいな。
開場、午前11時です。

北海道コミティア5については、次のリンクをご参照ください。
http://elysian.dojin.com/h-comitia/

寒い中ですが、是非是非。
ではまた。 

廃旅館:当別館 -一つの原点-

昨今、新幹線開業に湧く道南地方。JR江差線もこれに伴い、第3セクター「道南いさりび鉄道」としてリスタートした。その釜谷駅から上磯駅間では、海岸段丘沿いに津軽海峡と鄙びた漁村の風景を眺めることができる。

そんな磯の香りが漂う漁村の一画に、古い旅館の廃墟が残っている。
名を「当別館」。地名そのものを冠した、つげ義春のかほりが漂ういかにもな旅館跡だ。 
20150329-IMGP5193
函館近辺で生まれ育った私にとって、ここは子供の頃から前を通りかかる度に目を付けていた物件の一つだ。
だが、内部を探索するのはこれ(平成27年3月だが)が初めてだったりする。

場所は津軽海峡に面した国道228号線の、少し奥まった沢の入り口。手前を道南いさりび鉄道の架道橋が通っている。
非常にこじんまりとしており、最初は本当に旅館だったのかも怪しく思っていた。周囲には看板一つもなければ、客商売の物件らしい駐車場もない。民宿とも言い難い雰囲気…。
玄関先に「当別館」という表札さえなければ、完全に民家そのものだ。
しかし、後で調べてみると、昭和9(1934)年に創業したそこそこ由緒のある旅館で、鉱泉までついていたことがわかった。
昭和20年代に村役場で発行した史料に、当別館の広告や写真が載っていた。
※転載避け、または個人情報のため一部修正。ご容赦あれ。
img157s


温泉旅館当別館s
当時から鉄路との位置取りも、建物の間取りも大して変わっていないようだ。
昭和初期の漁村でこの規模はむしろ立派な部類にあたる。


さて、本題に戻ろう。
玄関部分は園芸用品や工具などといったものが雑多に積まれ、前に進むのも苦労する状態になっている。
しかし、屋根と床はしっかりしており、奥で窓や壁が崩れているおかげか、そこまでかび臭いというわけでもなかった。
まずは経営者の居住域へと足を伸ばす。
厨房。 …一般家庭?
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厨房というよりは完全に台所だ。
シンクにはカップラーメンを食い散らかした痕跡や煙草の吸殻が散乱しており、このような田舎にも浮浪者という存在がいるんだなと妙な感心を抱く。

サンマ焼くやつ(名称不明。網?)
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窓辺付近はかなり傾いてきている。崩壊する日も近いか。
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西陽に照らされる戸棚。カビの侵食が目立つ。
天井の壁紙もだらりと垂れ下がっている。
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ストックの食器の量さえなければ、本当にただの一般家庭に見える。
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ここから一歩戻ると、経営者家族の居間である。
こちらはかなり綺麗な状態のまま。
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本棚には、学生向けの試験問題集や大学受験用の赤本が並んでいた。70年代のものと90年代のものが一緒くたにされている。何浪してるんだ…(順当に考えて、親子二世代か兄弟の物だと思うよ)

居間から玄関方面を見る。
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この雰囲気…。やっぱり一般家庭じゃないか。

調べるにこの旅館、平成に入ってからも営業していたようだ。しかし、経営者の老夫婦が死亡するとともに廃業。次代の方は転出していたので、「倉庫代わり」にするというお決まりの廃墟コースで今に至る。
居間から廊下を挟んだ鉱泉跡の風呂小屋は一応倒壊を免れ、今でも汲みだせそうでこそあるが、滾々と湧く…という状態ではなく、虫が浮かんで怪しい色を湛えていた。私は遠慮する。
ちなみに鉱泉と温泉の違いは、大雑把に言えば冷たいか温かいか。
道南一帯は火山活動が盛んな場所であるが、北斗(上磯)から木古内付近には鉱泉が多く、他にも数軒このような廃旅館が存在、または倒壊消滅を辿っている。おいおい紹介したい。(いつになるやら…)

こちらは仏間。
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上磯町当別地区にもきちんとお寺があるのだが、どうやら隣町のお寺の檀家だったようだ。
仏壇や位牌はすっかり片づけられていたので、もうここへ人が戻ってくることはないだろう…。

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ここから廊下にでて風呂小屋と反対方向へ進むと、客室棟となる。
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…のだが、痛みが非常に激しい。

旅館らしい残存アイテム
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ちょうどこの撮影位置の左が客室棟の階段なのだが、雨漏りと湿気による劣化によって大きく穴が開いており、他の廊下もブヨブヨに腐って、いつ踏み抜くかわからない状態になっていた。
勘と、経験則、興味とリスクの天秤に照らし合わせ、ここから先は行かない方が吉という結論を下して戻ることにした。だって、たいがいの廃旅館ってどの客室も似たようなものだし、ここは改装もされてるしでそんなに見所があるようには思えなうわなにをす

風呂小屋に行く廊下も似たようなことになっていたので、外からアプローチしてみることにした。
こちらはさきほどの客室棟廊下の写真で見えていた場所の外側である。
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最初の白黒写真で言う、最も右側のあたりだ。変わってないね。 
撮影中も、JR江差線(当時)の鈍行列車が駆けて行った。
 
裏手に回る。
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廃業しておよそ20年ほど。徐々にではあるが、確実に倒壊が進んでいる。

敷地内を流れる小川に掛けられた危なっかしい橋(という名のただの丸太)を渡って近づいてみる。
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雪解けシーズンから幾ばくも経っていないというのに蔦が絡んでいる。
ここ最近の倒壊ではないことがわかる。

驚いたことに、近所の方は今でもここへ鉱泉を汲みに来ることがあるという。
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建物の裏手は、猫の額ほどの平地になっている。
春の野草が、寒々しい風に花を咲かせていた。
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国道から鉄道橋の先に見える、漁村の一角にぽっかりと空いた懐かしいようで妖しい空間、当別館。
前を通りかかるたび、幼い私はそんな世界に憧れていた。「現実」や「今」から取り残されてしまったそんな場所に入りこんでみたい。そこで何があったか、今何があるのか。調べてみたい。五感の全てで味わってみたい。 そう思い続けていたら、今ではこうして暇を見つけては廃墟や鄙びた街、山里ばかりに出歩く人間になっていた。
色々な意味で、日本には凄まじい廃墟がたくさんある。 この廃墟は規模も小さく、特筆すべきものもない。 しかし、私にとっては確かに思い出深い廃墟、いや原点の一つだ。
今ではあまりこちらへ来ることもなくなってしまった。気づいた時にはすでに完全倒壊ということもありうるかもしれない。 
感慨だとか、史料的だとか、そういったものとおおよそ別のベクトルの「惜しい」という感情が芽生える廃墟というのはむしろ少ない。
個人的なわがままでしかないが、どうか少しでも長く、その姿を保ってほしい。
誰だって、帰ることができる場所があってほしいものだから。


当別館 おわり。 
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