主に日本の廃墟を中心に探索撮影しています。(半ば自分用の備忘録も兼ねています)

【2020年6月現在】おしらせ
現在、こちらは更新をしておりません。探索・旅行などの活動及び創作物に関してはこちらをご覧ください。
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当サイトでは主に廃墟と墓地を中心に扱っておりますが、どちらも郷土史研究、または美術性、雰囲気を楽しむものとしてまとめているもので、オカルトもしくは肝試しと言った目的意味合いを一切持っておりません。閲覧の際はご了承下さい。
また、文章や画像の無断転載はおやめください。

上ノ国町中外鉱山 追記

上国鉱山 中外鉱業営業所のことについ備忘録も兼ねておいておく。
現在の姿はこっちの記事でどうぞ
http://hanatare-ruins.doorblog.jp/archives/51717885.html

 ・概要
正式名称は中外鉱業上国鉱業所。石崎の沢一体に広がるマンガン鉱山のひとつであった。
その立地は石崎集落から石崎川沿いに約5キロ。
石英脈石から菱マンガン鉱を主として他に鉄、カルシウムなどの炭酸塩と鉛、亜鉛鉄の硫化物を伴う鉱石を産出する。 品位30~36%(よいほう?)


・創業の歴史
昭和14年7月 八田満次郎氏が創業
昭和18年8月 中外鉱業株式会社が買収して開発が急速に進む。
昭和20年 一時閉山  
昭和22年1月 停止されていた事業を再開
昭和26年4月~27年7月 選鉱場と日影沢焙焼炉(四基)五玉村式架空索道などを建設
昭和32年 重液選鉱設備を整備、精鉱処理1万トンとなる
昭和34年10月 浮遊選鉱焼結炉(トンネルキルン、後述)を設置する
昭和61年 円高による採算割れの影響を受け閉山


・出鉱粗鉱量 31~35年度の五年間
31年度 85384t
32年度 104681t
33年度 108945t
34年度 113269t
35年度 118883t


・使役工数及び材料 31~33年度の三年間
       粗鉱(t)  使役工数(工数)  爆薬(㎏)  抗木木材類(石) 使用電力(kwh)
31年度   85815       55277        50816       4958     631007  
32年度  104551     73654       60764       6994     712392
33年度  108945     73323       56947       7712     744944

・例の焙焼炉の細目
全12基。赤レンガ内張り、鉄筋コンクリート外囲。内径2.3~2.5m。高さ13.8m。
一炉の装入鉱量約50t。一日13t~15tの焼鉱産出可。
前段階で採掘、手選と重選によった精鉱はここで薪を燃料として焙焼された。

・ライフライン、村の生活
電気は石崎変電所から3300Vで受電、契約電力は1000kwで月間使用量約350000kwh
鉄工、木工の工場もあり、旋盤3、ボール板1、セーパー1、グラインダー1、電気熔接機1、ガス溶接機1保有。

従業員数
役員 1
職員 53
鉱内夫 163
鉱外夫 男 124
    女 63
組夫 約180

従業員と家族の為に施設住宅244戸、寮が3。
昭和32年に上ノ国会館が建てられ社内行事、映画、バレー、ダンスなどに利用。娯楽室は会合、娯楽研修に利用。
ほか診療所、浴場、理容所、配給所、簡易郵便局、村立若葉小中学校、村立若葉保育所、各種商店がある活気あふれる鉱山街であったのは今は昔…


参考文献
松崎岩穂著 『上ノ国村史』 北海道檜山郡上ノ国村役場 1956
松崎岩穂著 『上ノ国村史 続』 北海道檜山郡上ノ国村役場 1962
地学団体研究会道南班/編 『道南の自然を歩く』 北海道大学図書刊行会 1989

ふたたび 山の牧場

前回↓
http://hanatare-ruins.doorblog.jp/archives/51734967.html

晴れた朝。 また時間ができたので山の牧場、再訪である。なんと気が早い…
今回は違う道から攻める
P1080537
あらきれい
晴れた牧場もいいですね。

牧草小屋
車で封印されてから、幾数年
P1080538
 山道の奥に昭和時代の廃車がたくさん置いてあるのをよくみかける 田舎の山道の描写にはかかせない。
…ただ個人的に好きなだけです。はい 

あれができる理由はただ廃車にする金がもったいないというだけではなく
山奥に放置→盗難届→保険金ウマーする輩も少なからずいるからなんだとか 
よーし私もカブさんを百井の山道に(ry

以前は細かく見れなかった第一棟内部
P1080540 
第三棟より横幅は広い印象

例の飼料塔(勝手にネーミング)の内側
P1080569
初めてみたが、割とシンプルだ。
もっと樋かなんかが通って電動でぐあんぐあんいっているものだと思ってた 。

またしても謎のメモ
種付けかなんかの時期予定か?
P1080541


P1080543
コンクリは苔むすとそれまでの味気無さが嘘のように美しくなる。
 
外から
P1080558
構造的に二階もありそうだ
しかし登れそうな設備はなかった。 ハシゴで出入りしていたのか

第一棟、第二棟連絡通路
P1080547 
廃墟の壁には独特の魅力がある。

第二棟、管理室にて
 
P1080548
2003年か。
廃業当時なのか、ただめくられるのが放棄されただけなのか

机。やっと実験器具らしいものを発見する。
P1080557
謎のアンプルが転がる。中身はなんじゃろな。

崩壊した第二棟
P1080555
だが奥は健在
廃墟にしてはどこか温かい感じがする 

抜けた屋根
P1080549
紅葉が遠い

謎のメモ その3
P1080552
よほど思い入れのある牛だったのか?
 牛の名前はどいつもこいつもやたら長ったらしくて舌を噛みそうですね。そしてなにより面白味に欠ける。
少しはお馬さんの名前を見習った方がいいかもしれません。「カッパビジン」とか「オレノデバン」とか「キヌサヤ」とか。 

珍妙な器具
P1080556
 なにかものを載せる台か?
ミルク瓶置き?

第二棟から第一棟
現実に近い画が撮れた
P1080553
 晩秋です。

そして、前回行けなかった離れの四つ小屋へ向かう
道中の倉庫はなぜか扉が半開き・・・
P1080560
朝日は苦手だが、これは美しい
肝心の四つの小屋だが、どうやら厩舎より数年~数十年早くに廃されたようだ。
崩壊具合が激しく周囲にも藪が酷くて近づけそうにない。

第二棟の裏方面からアプローチする
P1080563
ひたすら巨大である。

夏は蔦に覆われるのだろう
P1080564
しかしこっちも藪原だった・・・ 鎌も鉈もないので断念する。

ゲート? 
P1080566
牧草地入口のなごりだろうか。
そしてなぜかここをくぐったとたん雰囲気が変わる。 音がこもる・・・

あんまりいたくないなあと思っていたらこんなのが。
P1080565
 …引き返そう

秋空の下、山の牧場には今日も野鳥の鳴き声が響く
P1080567
 
 風と、木葉のおちる音を後に
P1080573

デジカメレンズの内部になぜかホコリが入ってしまった よくみると上の画像にも黒い影が・・・
今度はいっそのこと一眼レフに買い替えようか

山の牧場 -試験管と牧草ロールの錬金術-

こんな情報を耳にした。
「この間さ、山に行ってきたんだけど、その道路脇に牧場跡があってさ。すごいよー、おっきい厩舎が三つ並んでて、あれくらい大きいのは道東の方に行ってもなかなかないね」 

そういえば以前、その付近を通ったとき山の方へ立派な電柱が立ち並んでいる姿に疑問を抱いた。あの方角には誰かが住んでいるなんて聞いたことがなかったから。その後近所の人にそのことを聞くと、「いや、あの上にも人が住んでる」と顔色変えずに言った。 知らないとはそんなものだった。
なんでも昔は某大手企業によって相当大きい牧場が経営されていたが、数十年前に民間に払い下げられ、不景気と酪農の不振もあり今では牛の一匹もいない廃牧場になっている。倉庫の中には昔使っていた種付け用の試験管やビーカーなども残っている…と聴いた。
行くっきゃないだろ常考。

というわけで行ってきました。土地の権利者の意向で、具体的な場所は非常に申し訳ないけれど非公開で。

入口、晩秋ですね
この奥に件の廃牧場がある。
P1080451

あれか?
事務所と思われる
P1080398

潰れている…
P1080446
が、この建物の周囲には人が歩けるだけの道ができている。
奥にメーターボックスがある関係だろうか。

蔦が美しい
P1080445

ハイカラなつくりだ
開拓時代を髣髴とさせる。 この牧場、開設されたのは昭和初期らしいけど。
P1080447

奥から。
窓はほとんど張出型の作り。
P1080448

中をのぞいてみたが試験管類は見当たらず
さすがに事務所にはおかないよな・・・
P1080450
なんの本だろうか
気になる

そして進むと見えてくる厩舎たち
一つ目 おお確かに大きい
P1080444
曇り空が白く抜けたようになって見栄えが悪い・・・

見方によっては学校に見えなくもない
P1080399

奥のほうに別の倉庫のようなものが点在
P1080400
しかしいずれも雪のせいだろうか、潰れてしまっている

牧場と言えば牧草ロールに腰折れ屋根、サイロにそしてこれ
P1080401
これ・・・ なんていうんだろう

渡り廊下がついている
こんなにシステマチックな牧場を初めて見た 相当大規模なものだったと思われる
P1080443

第一棟と二棟。二棟は真中が崩落してしまっており、面倒そうだったので探索は後回し。
P1080428
鉛色の空に冬枯れ近い廃墟。
ああやっぱりこれに限る(結局なんだっていいんじゃないか)

二棟内部
なぜか工事の看板がある
P1080403
あんまり時間がないので詳しく見ていられないのが残念だ

そして第三棟 これがすごい
で、でかい…
P1080404
これはほぼ完全な姿。倉庫として今も現役なようだ
それよりなによりとにかく巨大。

全景 プライバシーの関係上画像処理した部分がある
すまぬ
P1080429a
なぜか厩舎向かいには道路工事に使うような道具の保管場所があった。
作業トラックもその一つ。

普通の住宅なら軽く三階~四階に相当する高さ
P1080426
ここは詳しくみてみよう

怪しげな物音がする
と思ったら棲みついた野良猫たちでした
P1080406
厩舎の下段は例によって天井が低い

入口すぐ左側
奥のブロック壁はサイロのもの。サイロから取り出した牧草を置いておくための部屋と思われる
P1080409

そこらに残る牧草の束、ところどころに落ちている牛のタグ、そのままの電線類。
内部の様子からみて、ここは経営中最後まで使われたのではないか
P1080410

飼育されていた牛たちが消えて、何年たつのだろうか
P1080416
厩舎特有のすっかいような匂いはいまだ消えず。建物自体に染みついているのだ。

向こう側にはなにもない・・・?
P1080417
あとで地図を見返すと、まだまだ建物があるみたい。晴れた日にもう一度行ってみる必要がありそうだ。
建物どうしをつなげて構造も複雑になっているし、1時間ではさすがに無理があった。

サイロと厩舎、往時の姿がそのまま残っている。
P1080420
 
サイロに付属している木造のアレ
中身がなんなのか昔から気になっていたが、今見てはっきりした。 外のハシゴがある場所ではなくここから牧草を出し入れしていたのだ
P1080424

そして、さきほどみた仮置き場へ
謎のメモ
 P1080422

クズを掃いてたのだろう
P1080423
個人的にこんな感じの被写体が好きだ

二階もあるはず。・・・これ登るのか
P1080441
 曲がってるし

おお、広い
P1080434

解放感あふれる
P1080438
 スノーモービルはおそらく冬季の移動用か

こんな構造になってるのね
P1080432
昔は木造だったこれ。
時代が進むと、トタンと鉄骨で囲ったドームになるのよね 

食べる者はもういなくなった
P1080430
ここに土に還るまでずっとあるのだろうか

木造だからか、それとも窓が適度に配置されているからか
がらんどうの建物にしては意外と声が響かない
P1080431
なかなかみられる景色ではない。

まだ見足りないが、時間が来た。(試験管を発見してないんですが)
P1080437
いいや、また来くればいい。


最後に、話は変わるがみなさんは「山の牧場」という怪談を知っているだろうか。
『新耳朶』らしい不気味で説明しがたい恐怖譚だが、ここにいると自分がその舞台にいるような気分になる。いまだに残るという試験管やビーカーも、地元に住んでいて経営をやめた話をしっているから特に変に思わないだけでまったく別の土地の人がこの牧場をみたらどうだろうか
ほとんどそのまま残された建物。遺物。落書き。怪しげなアイテムの数々、人がいそうでいない妙な雰囲気。そして立地場所と外部取材を嫌う土地の権利者。

「山の牧場」は、このような条件が重なって生まれた怪談ではなかろうか。
もしかしたら、この牧場だってその舞台になっていた可能性があるかもしれないのだから。

再訪↓
http://hanatare-ruins.doorblog.jp/archives/51735608.html
 
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