こんな情報を耳にした。
「この間さ、山に行ってきたんだけど、その道路脇に牧場跡があってさ。すごいよー、おっきい厩舎が三つ並んでて、あれくらい大きいのは道東の方に行ってもなかなかないね」 

そういえば以前、その付近を通ったとき山の方へ立派な電柱が立ち並んでいる姿に疑問を抱いた。あの方角には誰かが住んでいるなんて聞いたことがなかったから。その後近所の人にそのことを聞くと、「いや、あの上にも人が住んでる」と顔色変えずに言った。 知らないとはそんなものだった。
なんでも昔は某大手企業によって相当大きい牧場が経営されていたが、数十年前に民間に払い下げられ、不景気と酪農の不振もあり今では牛の一匹もいない廃牧場になっている。倉庫の中には昔使っていた種付け用の試験管やビーカーなども残っている…と聴いた。
行くっきゃないだろ常考。

というわけで行ってきました。土地の権利者の意向で、具体的な場所は非常に申し訳ないけれど非公開で。

入口、晩秋ですね
この奥に件の廃牧場がある。
P1080451

あれか?
事務所と思われる
P1080398

潰れている…
P1080446
が、この建物の周囲には人が歩けるだけの道ができている。
奥にメーターボックスがある関係だろうか。

蔦が美しい
P1080445

ハイカラなつくりだ
開拓時代を髣髴とさせる。 この牧場、開設されたのは昭和初期らしいけど。
P1080447

奥から。
窓はほとんど張出型の作り。
P1080448

中をのぞいてみたが試験管類は見当たらず
さすがに事務所にはおかないよな・・・
P1080450
なんの本だろうか
気になる

そして進むと見えてくる厩舎たち
一つ目 おお確かに大きい
P1080444
曇り空が白く抜けたようになって見栄えが悪い・・・

見方によっては学校に見えなくもない
P1080399

奥のほうに別の倉庫のようなものが点在
P1080400
しかしいずれも雪のせいだろうか、潰れてしまっている

牧場と言えば牧草ロールに腰折れ屋根、サイロにそしてこれ
P1080401
これ・・・ なんていうんだろう

渡り廊下がついている
こんなにシステマチックな牧場を初めて見た 相当大規模なものだったと思われる
P1080443

第一棟と二棟。二棟は真中が崩落してしまっており、面倒そうだったので探索は後回し。
P1080428
鉛色の空に冬枯れ近い廃墟。
ああやっぱりこれに限る(結局なんだっていいんじゃないか)

二棟内部
なぜか工事の看板がある
P1080403
あんまり時間がないので詳しく見ていられないのが残念だ

そして第三棟 これがすごい
で、でかい…
P1080404
これはほぼ完全な姿。倉庫として今も現役なようだ
それよりなによりとにかく巨大。

全景 プライバシーの関係上画像処理した部分がある
すまぬ
P1080429a
なぜか厩舎向かいには道路工事に使うような道具の保管場所があった。
作業トラックもその一つ。

普通の住宅なら軽く三階~四階に相当する高さ
P1080426
ここは詳しくみてみよう

怪しげな物音がする
と思ったら棲みついた野良猫たちでした
P1080406
厩舎の下段は例によって天井が低い

入口すぐ左側
奥のブロック壁はサイロのもの。サイロから取り出した牧草を置いておくための部屋と思われる
P1080409

そこらに残る牧草の束、ところどころに落ちている牛のタグ、そのままの電線類。
内部の様子からみて、ここは経営中最後まで使われたのではないか
P1080410

飼育されていた牛たちが消えて、何年たつのだろうか
P1080416
厩舎特有のすっかいような匂いはいまだ消えず。建物自体に染みついているのだ。

向こう側にはなにもない・・・?
P1080417
あとで地図を見返すと、まだまだ建物があるみたい。晴れた日にもう一度行ってみる必要がありそうだ。
建物どうしをつなげて構造も複雑になっているし、1時間ではさすがに無理があった。

サイロと厩舎、往時の姿がそのまま残っている。
P1080420
 
サイロに付属している木造のアレ
中身がなんなのか昔から気になっていたが、今見てはっきりした。 外のハシゴがある場所ではなくここから牧草を出し入れしていたのだ
P1080424

そして、さきほどみた仮置き場へ
謎のメモ
 P1080422

クズを掃いてたのだろう
P1080423
個人的にこんな感じの被写体が好きだ

二階もあるはず。・・・これ登るのか
P1080441
 曲がってるし

おお、広い
P1080434

解放感あふれる
P1080438
 スノーモービルはおそらく冬季の移動用か

こんな構造になってるのね
P1080432
昔は木造だったこれ。
時代が進むと、トタンと鉄骨で囲ったドームになるのよね 

食べる者はもういなくなった
P1080430
ここに土に還るまでずっとあるのだろうか

木造だからか、それとも窓が適度に配置されているからか
がらんどうの建物にしては意外と声が響かない
P1080431
なかなかみられる景色ではない。

まだ見足りないが、時間が来た。(試験管を発見してないんですが)
P1080437
いいや、また来くればいい。


最後に、話は変わるがみなさんは「山の牧場」という怪談を知っているだろうか。
『新耳朶』らしい不気味で説明しがたい恐怖譚だが、ここにいると自分がその舞台にいるような気分になる。いまだに残るという試験管やビーカーも、地元に住んでいて経営をやめた話をしっているから特に変に思わないだけでまったく別の土地の人がこの牧場をみたらどうだろうか
ほとんどそのまま残された建物。遺物。落書き。怪しげなアイテムの数々、人がいそうでいない妙な雰囲気。そして立地場所と外部取材を嫌う土地の権利者。

「山の牧場」は、このような条件が重なって生まれた怪談ではなかろうか。
もしかしたら、この牧場だってその舞台になっていた可能性があるかもしれないのだから。

再訪↓
http://hanatare-ruins.doorblog.jp/archives/51735608.html