F医院内に残されていた薬品のまとめ。見方は前回に準拠。

しかし、時間の関係でS診療所のように個別に撮影ができたわけでないため非常にヌケのあるまとめにならざるを得ない結果になってしまった。無念。

・ストレプトマイシンP1130164
ご存じ、戦前日本において国民病とも死病とも言われ恐れられた結核に対して非常に有効な抗生物質。
現在は耐性獲得の面から単独使用されることはないらしいが、今なお現役の薬物だ。
化学式C2139127
ちなみに、抗生物質は元来細胞の生長を阻害する立派な毒物であるが、この毒性は病原菌の作り出す細胞壁にしか作用しないため選択的に毒性が作用する。これが抗生物質の原理であるそうだ。

主な効果:結核菌に対する抗生物質。経口摂取では効果が薄いため、静脈や筋肉注射の形をとる。
副作用:腎機能障害や難聴をもたらす場合がある。

・カンフル精P1130164a
カンフルとは樟脳のことであり、楠からとれる物質である。これをアルコールやエタノールに溶かした無色の液体がカンフル精で、カンフルチンキとも言う。そのため強い臭気と揮発性を持つ。
今なお使用される打撲傷の塗布剤である。 化学式C1016
古くカンフル剤を強心薬として使用していたので、復活、起死回生の手段のことを「カンフル剤」といったりもする。

主な効能:筋肉痛、打撲、捻挫などによる局所刺激、結構改善、消炎、鎮痛などに用いる
副作用:過敏症による発疹などが起こることが有る。

・アトロピンP1130263
植物由来のアルカロイド。副交感神経を抑制し胃腸の動きを収めたり、心臓に働きかける。
また瞳孔散大剤に使用する。アトロピンを含む代表的な植物:ベラドンナは「美しい淑女」という意味で、これはルネサンス時代の貴婦人たちがベラドンナのしぼり汁を点眼することで目をぱっちり美しく見せることが流行したことが由来。 「美しい淑女」から採れる薬物がアトロピンであり、これはギリシャ神話の女神「アトロポス」にちなむ。
命を断ち切る運命の女神の名よろしく、なかなか強力な毒物になりうるので要注意。
最近ではサリンやVXガスの解毒剤としての使われ方のほうが有名か。相棒season2のアトロピン殺人は大分面白かった。
医療用には硫酸アトロピンとして使用されるそうで、その化学式はC344624

主な効能:注射による胃腸の運動亢進、心臓の房室ブロック、麻酔薬投与前の睡眠剤。点眼によって瞳孔散大剤。
副作用:頻脈、喉の渇き、散瞳、頭痛、排尿障害や不安、興奮など。また前立腺肥大症や緑内症患者には禁忌である

・サリチル酸ナトリウムP1130269
S診療所でも見かけた消炎鎮痛作用がある薬剤。 鳥居のデザインが妙に雰囲気に合っている
化学式C7H5NaO3

主な効能:消炎鎮痛作用がある。また解熱薬としても用いられる。粉末なので経口、注射薬どちらとしても使用可能。最近では動物用の医薬品として用いられている。
副作用:催奇性があり。妊婦の処方に注意する。

隣のフラスコ型薬剤は市販されていた薬剤なのか不明。すまぬ

・プロテイン銀P1130276ab
腐食性があり、鼻や喉の殺菌収斂に用いるらしい。
一番大切なものは何ですか? プロテイン!
化学式は調べても出てこなかった。すまぬ

主な効能:慢性咽喉頭炎、慢性鼻炎、慢性淋疾の殺菌収斂防腐に用いる。
副作用:過敏によるくしゃみ、粘膜発赤、発疹など。また腐食性があるので眼に入ったり、皮膚、粘膜についたままにしていると危険である。

・塩酸パパベリンP1130277a
聞き慣れない薬物だが、ケシ科の植物から採れる鎮痙剤の一種らしい。 
化学式C20H22ClNO4

主な効能:内臓の平滑筋の痙攣を鎮め、また胃炎や胆石の腹痛に用いられる。血流をよくするのにも。
副作用:便秘、口の渇き、めまい、動悸が起こることがある。副作用はごくまれな優れた薬剤だとか。

・ミグレニンP1130277av
効き目の強い頭痛薬らしいが、副作用が出やすいため最近では使われない。
鎮痛解熱に使われるアンチピリンとカフェインが配合されている。
アンチピリンの化学式はC11H12N2O

主な効能:頭痛薬
副作用:ショック症状、だるさ、皮下出血、高熱、ただれ、腎機能肝機能の重い症状が出ることがある。またピリンアレルギーがある人は飲んではならない。

・ヨードP1130280b
沃度とも書く。ヨウ素のことでヨードチンキとして消毒薬として用いる。

主な効能:通常は二倍希釈して消毒薬とする。
副作用:経口や吸入によって頭痛、流涙、気管の炎症などヨウ素中毒の症状がでる。

・クエン酸ソーダP1130280c
クエン酸ナトリウムのこと。 三価のカルボン酸であるため一、二、三の三種がある。

主な効能:二ナトリウムをpH調整剤、三ナトリウムをpH調整剤、抗擬固薬として採血に添加する。
副作用:唇や手先がしびれるクエン酸中毒が起こる場合がある。

・コロイド銀P1130285a
金属粒子の大きさが100ナノメートル程度かそれ以下になると、水や溶剤の中に浮遊するようになり、沈降しにくくなる。これが「コロイド」であって、コロイド銀とはコロイド化した銀粒子のことである。

主な効能:銀イオンには除菌効果があり、それを利用して薬品、機材の消毒に用いる。
副作用:銀中毒になりうる可能性がなくもないが…。

・重燐酸カリP1130285b
燐酸カリと呼ばれる物質は三種あり、化学式から燐酸二水素カリウムと思われる。
医療用より肥料としての使用法が良く知られる。 化学式KH2PO4

主な効能:肥料、排水剤のほか、pH調整剤や食品添加物として用いられる

・グアヤコール P113u9
グアイアコールともいう。がどちらにしろ発音がしにくい。
虫歯の治療時に歯の神経の麻酔、消毒に用いたそうで、正露丸の主成分であるクレオソートから取り出されるという。ということはあの匂いがするのだろう。
しかし、刺激性が強く口の粘膜についたときはすぐに洗浄しなければならないそうだ。
化学式2CH3OC6H4OH

主な効能:歯などの痛みの緩和、麻酔、消毒
副作用:刺激性が強く、また毒性もある。現在ではあまり使用されることはなくなった。

・次亜燐酸ナトリウムP1130285c
聞き慣れない薬品だが、医療用薬品というよりは工業用のメッキ、食品添加物として用いるらしい。 それにしても英語にした瞬間異様に長くなるな…
化学式NaPO2H2

主な効能:上記のとおり。また医薬原料としても用いられる。

・水酸化ナトリウムP1130285d
ご丁寧に英名で書かれているが水酸化ナトリウムのこと。 中学校の実験で使ったりした経験があるだろう。
しかし、爆発の危険性や強いアルカリを示したりと意外と注意が必要な物質である。
化学式NaOH

主な効能:医薬品としてより、どちらかというと製造用薬品とされる。

・カミルレ花 P1130286
カモミール、もしくはカミツレのこと。有名な薬草で、リンゴの匂いがする花をつける。
古来より婦人薬、健胃薬として用いられ、現在ではハーブやお茶、入浴剤として使われる。

主な効能:婦人薬、発汗剤、消炎剤などとして漢方薬のように使う。

・ベルツ水 P1130304a
風呂場にあった薬剤。 明治年間、東京大学医学部の前身である東京医学校で教授を務めたベルツ博士が、妻と草津温泉へ旅行した際の経験をもとに考案したスキンケア用薬品で、グリセリンと日本酒で誰でも作ることができるとして普及させた。
今でも家庭で作れる薬として婦人に需要がある

主な効能:ひび、あかぎれ、乾燥などの皮膚病に用いる。

・クレオリンP1130304c
風呂場にあった薬剤。
詳細は不明だが、ラベルの説明や戦前の論文から考えて消毒剤、殺虫剤であったと思われる。

・メタノール P1130308c
風呂場にあった薬剤
所謂アルコールの一種で消毒用として用いる。化学式CH3OH
消毒薬としてより、飲むと目がつぶれる作用の方が有名かも

・ジアゾール P1130308crjpg
風呂場にあった薬品。
化合物の名前を思い出すが違うらしい。
ラベルの謳い文句からおそらく消毒薬かと思われる。

・ロベリアチンキ P1130393s
ロベリアに含まれる呼吸興奮成分であるロベリンを使った薬剤。ニコチンのような物質で中毒性依存症に効果があるとか。
化学式C22H27NO2

主な効能:呼吸興奮とともに、現在は禁煙補助剤としても使われる
副作用:ニコチンに似た物質なので、胃腸障害や嘔吐、腹痛、意識混濁が表れることがある。

・ノイトラロンP1130394
詳細不明だが、戦前の書籍によると制酸剤の一種だったようだ。
胃酸の分泌を抑え、酸度を中和する作用を持つのだ。

・アルコール P1130400a
みんな大好きお酒の成分。その正体は酒精とも言われるエタノールのこと。
医療用では消毒剤として利用される。化学式C26

主な効能:消毒剤。飲まずにはいられなくなる。 嫌なことを忘れられる。
副作用:発がん性があるとも言われ、後アセトアルデヒドに分解されるがこれがいろいろと悪酔いや二日酔いなどをもたらすらしい。 醒めた時にはもう遅い深刻な事態を招くことがある。 「酒は飲んでも飲まれるな」である。

・醋酸 P1130400x
酢酸のこと。平たく言えばお酢である。
古来から防腐剤、調味料、医薬品、近代では工業用薬品、試薬などと幅広い活用方法がある物質である。
化学式C2H4O2

主な効能:医療用では塗布してクラゲの毒を中和したり、外耳薬、消毒薬とする。他の物質と化合させてさまざまな薬品の素にもなる。

・還元鉄P1130401a
その名の通り、酸化鉄を還元することで得られる粉末状の鉄。
中学校時代、理科の実験で作ったこともあるのではなかろうか。

主な効能:消化管からの吸収が早いので増血剤として用いられる
副作用:過剰摂取によって鉄分中毒による腹痛、軟便や便秘、食欲低下をもたらすことがある。

・ジアスターゼ P1130404
アミラーゼのことで消化酵素。 麦芽や麹から抽出し、整腸剤や消化剤として用いられる。
高峰譲吉博士のタカジアスターゼは有名であり、ジアスターゼがアミラーゼの名称で統一された今でもその名で呼ばれている。

主な効能:消化を助ける整腸剤、消化剤として用いる

・枸櫞酸P1130401
クエン酸である。枸櫞とは中国のレモンの一種で、この物質が柑橘類に多く含まれることが由来である。
酸味の代表格。化学式C6H8O7
どうでもいいが、瓶の色がいいねえ。ロート製薬の瓶を思い出す。

主な効能:抗血液凝固剤のほか、排尿作用を利用して痛風などの高尿酸血症の治療に用いる
副作用:心機能の抑制、手先や唇のしびれが起こることがある。事前にカルシウムを摂取しておくと抑えられるとか


クロロホなんとかさんがあったような気がするが忘れました。

※最後にお断り

載せている効能や化学式は図書館等で調べた情報によっています。
なるべく正確な情報を載せるようにしましたが、自身はそちらの分野にあまり詳しい者でないのでやはり間違いがあると思います。
もし「ここ間違ってんじゃねえか!」という文があった場合、コメント欄等でご指摘ください。