前回に引き続き廃校回



福島町の東岸部には漁撈生活を営む小集落が点在した。しかし、その切り立った地形から近年まで町と連絡を取り合うのは容易な事ではなかった。
当時は無論トンネルや海外沿いの道などあるはずもなく、主な移動手段は船のみだった。しかも今の様にエンジンを搭載しているわけでもない。そう毎日毎日思うように船を出せるわけではなかった。凪いでしまえば身動きがとれず、かといって時化てもいけない。
近代化によって時間に追われるようになった明治以降、そんな状況で一番困るのは学校であった。よほどの天災でもないかぎり毎日必ず授業をしなければならず、「船が出せないので授業やらないでください」なんてことも迷惑がかかる。
そんなことだったから昔は集落のある処津々浦々に小学校中学校、または分校が建った。小規模な集落でかつ数キロしか離れてないにもかかわらず何か所も学校がある場所にはこんな背景があるのだ。

そして、この日出小学校もそんな地形によって歴史を歩み始めた学校である。


日出集落も今では無人となった廃屋が立ち並んでいた。湿った潮風が海沿いの沢へ入り込み、そのたびに垂れ下がったトタン屋根がカンカンと乾いた音を立てた。
春のうららかな陽気を目の前に、一つと人影のない集落の光景は背筋にかじりつくような寒々しさがあった。

海岸伝いにそんな廃部落を越えた先の高台に、日出小学校はある。

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日出小学校は、大正13年日出に季節分教場が開設されたことに始まる。
当時はまだ無認可であり、昭和16年に小学校に格上げされた。
昭和39年に現在の校舎となったが、昭和52年には集落に就学児童が皆無になったため自然廃校となってしまった。 集落自体が浦和、さらにこの奥の岩部と違い人口がきわめて少なかったため休校ともされなかったようだ。


前回、浦和小学校を案内してくださった吉澤さんは子供のころ、キャンプの肝試しでここに入ったことがあるらしい。 しかし現在出入り口は尽く戸板やベニヤで封鎖されていた。
再利用の可能性は当時からさらさらなかったのだろう。


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ここは教室の一つ。
例によってiso800のノイズ出まくりですのであしからず。



さすが管理の手一切なしで40年近く放置されただけあって、荒れ方は随一。

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歯磨きコップが置かれたままになっていた。
当時のもの? それともレクかなにかがあった際の備品か?

ボロボロになったカーテンや緞帳は廃墟の醍醐味。
滅びの芸術。
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苔むした床もよろしい
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床、謎のたわみ方。
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両面に黒板があるのは複式学級の特徴だが、車輪のついてない移動黒板なんて初めて見た。
さすが昭和時代の廃校は一味違う。

黒電話 たぶん内線用
だと思うけどなんで教室に電話が
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謎めいたその姿に、「もしもし」する勇気は出なかった。 
「行ってはいけない場所」に行きたくなる子供だったが、分別はつけなければなるまい。危険を察知できなければこういう趣味はやってはいけないのだから。

こちらは隣の教室
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我々の世代には、既にあのタイプのラケットは過去の遺物だった。
誰にも使われることなく体育倉庫の奥に眠っておられた。

やはりというかカビ臭い
寒くも暑くもない。 が、冷や汗のようなものはでる。
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時間が停まっていると云うより、進んでないと行った方が正確かもしれない。
発展はなく、たどり着く場所へ緩やかに死んでいくといった感じか。


板はほぼみんなベニヤ構造 湿気のせいかめくれあがってる
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天井以外何もかもがでろりと垂れ下がり非常に見苦しい

パースやら何やらおかしいですね
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精進したい

これはいい廊下
実に、実にすばらしい
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廃校の何が好きって一番は廊下ですよ
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意外にノイズが光のやわらかさを掴めてていいかもしれない
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崩れ具合がなんともいいね
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いつ崩壊してもおかしくないのに、よく今年の大雪に耐えたものだ
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西側が玄関や職員室
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反対側は体育館へ。
しかし歪んでいるのか、引き戸がどうにも開かないので一旦諦めた。

すりガラスの向こうに影のない四角い日光が当っていた。抜けた窓があるはずと思い後回しにした。

袋小路のような作りなので、迷い込んだ動物のカビた糞が奥の一部に散乱していた。
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骨もあったがね…
どうして大腿骨だけだったんだろう 共食いかな
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あれが玄関
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シャレた造りしてますね
室戸岬のニュー室戸か美唄の沼東小学校のようだ。
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それにしてもモップでつっかえ棒って…

玄関から職員室側
上のは防災ベル? 放送のスピーカーはあったし、百井のようなベル現役な学校ではなかっただろう。
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先生がたの下駄箱かしら
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残留物の種類がどうも微妙なものばかりだ

職員室
あらここもすばらしいではないか
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苔と光の加減が秀逸
いい時間帯にあたったわ

天井のアレ
浦和でも見かけたけど、方角や星座の教育に力入れてたのかねえ
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赤い墨汁懐かしいな
あれ服に付くと、墨汁以上に取れにくいんだよな
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予定表
ボケがひどくてすみません
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めずらしく何にも書かれてないけど、最初から書かれてなかったのかな
自然廃校だから、最後に消したのかも


iso800も時としていいかもしれん
やはりノイズはひどいが
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しかし光の柔らかさがよく表現できる

さて、お隣
おそらく休憩室か保健室
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空間に惚れた。
…何回目だよ

やはりノイズがひどい
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なんでこのソファーだけこんなに荒れてるんだ
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腐りやすかったのか、それとも食われたのか

なんと、給食室まで完備されていた。
給食室がある学校なんて初めてみたわ。 
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よくこんな田舎で… と思ったけど逆か
給食センターなんて最近出て来たものだしな。


窓口
ここでは配膳口か
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ああ懐かしいなこの形
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相変らず残留物が妙なチョイス
整理したとき持って行く価値なしとされたものたちなんだろうな そう思うとなんだか哀しい

下は窯だとして、上のアレは何だ
換気扇?
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さっきから陰部分に見える白い点は、木材の間から入り込んだ日光です。
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あら懐かしいスイッチ
こんなの今じゃ廃校転用した施設とかじゃないと見ないわ。
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一度外に出て裏手に回る。

前側から校舎全景
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ここへ来る坂道のぬかるみにま新しい足跡があったけれど、この校舎に出入りしているわけではなさそうだ。
上に畑でもあるのかね …廃集落なのに?

廃校の中に女の子がいた 的な話あったなあ
美しい物語だった。


未踏の体育館
どうにかして入り込めないものか
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春先だからか、意外に校庭は片付いている。

最奥にあった教員住宅
これは完全に封鎖されている。
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あそこの窓からいけよって?
跳躍力も無ければ体も硬いので無理です

これよりもっと奥にはげ沢のような地形があったが、がけ崩れのあとの様にも見えた。


少し戻り、潜入路を探して体育館の裏手に回ると
すげえ… バトル漫画みたいにヒビ割れてやがる
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土砂崩れの話もあながち侮ってはいかんな


反対側から回るか

開かない扉の向こうにあったのはどうやらトイレらしい。
ここは雪で潰れかけている。花子さんも大変な場所で暮らしてるもんだ。

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あれだ。 すりガラスの向こうの光の正体!
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しかし悠に2mはある高さ。
脚立でもあればなんとかなりそうだがやめとこう… 仮に入ったとして帰りはどうすんだ

結局、体育館は見れずじまいだったがよいものがみれたのでこの辺で退散することに。


かつて、在校生が見たであろう景色を最後に
廃集落となった日出が見える。

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見るものも、見られるものも、今では仲良く廃墟趣味。