テーマパークと聞いて道民が一番最初に思うのはやはり「ばりばり!ゆーばり♪」とか「みーついグリーンラーンド♪」とかそんな場所。
子供の頃から永らくローカルCM見続けてたら嫌でも覚えるものです。門前の小僧とか観学院の鶯とかそんなとこ。だから三井グリーンランドが諸事情により、頭の「三井」が取れた現CMを見た時の違和感は異常だった。

それはいいとして、道南の一大景勝地こと駒ヶ岳山麓にもそんなテーマパークの残骸があると聞き、このたび訪問して来ました。 名を「スバルパーク」という。
私自身はテーマパークと云う場所に好き好んで行く性質ではないのですが、廃墟となれば別問題。 営業時はそっぽを向き、廃墟になってから喜び勇んでその門をくぐるとはなんともおかしいお話。


向かうは駒ヶ岳山麓。たまたまこんなに良い天気になった。
奥に見えるのが駒ヶ岳。新日本三景の一つ。 山麓から見る場所によってその山形を大きく変えるのが特徴で、この形が一番有名。
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ちなみにこの交差点のせいで長距離渋滞がよく起こる。

鹿部町方面に向かうこと暫く、深い森の中を縫うように走ると赤い看板を発見。
スバルパーク。
1986年にオープンし、1998年閉鎖という年数が物語る様に典型的なバブルの影響で生まれた施設である。
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道南で育った現在18~20歳以上の世代ならば、名前を聞けば「ああ…、そういえばそんなのあったね」となるこの施設。テーマパークと云うより、南方や世界の珍しい生き物が見られる動物園のような場所だったそうな。
大沼国定公園内の立地という、大自然の中に似合った経営はまあ間違っちゃいなかったんだろうがリピーターが付くほど魅力はなかったようだ。 場所の見つけにくさも来場者を遠ざけた要因だろう。
世の中そんなに甘くはない…

ちなみに大沼湖畔には同じ理由でドライブインやホテルの廃墟が大量にある。

7月6日追記)
地元資料館で本棚を漁って居た所、1997年の南北海道観光ガイド雑誌を発掘した。
すでに閉鎖、解体されたホテルや遊戯場を紹介した項目も多く、其の中にはスバルパークの記述も含まれていたので拾い読みすると、1997年当時で年中無休、入園は1300円。 駒ヶ岳の地熱を利用して約600頭羽の動物を飼育し、ライオンやヒョウなどの猛獣舎、世界のワニ約80頭が棲むワニ園、熱帯植物がおい茂るバイオカプセルなどがあった。月一回ワニの餌付けショーが開催され、ゾウ、ロバ、ウサギ舎では常時餌付け体験もでき、ゴーカート、ミニSLコーナーなどもあったと。

横に見えるは駒ヶ岳。 ね?さっきと山の形が違うでしょう?
景色は抜群
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レンズの中に入り込んだホコリのことは気にしないでくれ。


来てからというものずっと野鳥のさえずりが絶えない。
ハイク気分でいいもんですね。

ロゴ。トナカイにイグアナも居たのか…
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入場窓口の下にアライグマ…
閉鎖の時逃がしたりしてないよね。
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メインの建物だろう。がらんどうだが、食堂か何かをやっていたのだろうか。
奥のアーケードゲームは某テレビ局の友達パークを思い出す造り。

事務所。 ガラス、ほぼ壊滅
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入場券発見
…高っ。
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悪いが現役時代なら死んでも入らない。しかし、両親と姉たちは入ったことが有るらしい。
その記憶によれば「羊だったかアルパカだったかがいたな…」とのこと。それ以外印象がなかったんだな。

上の窓は殆んど抜けている。
お陰で鳥の格好の通路になっていた。 鳴き声からしてカケスか?
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巣が有るのか撮影中ギャーギャーと威嚇され続けた。 ごめんなさいね

実際はもう少し明るい
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立地のおかげで廃墟のように感じない。
湖畔の静かな村といった雰囲気である。 …別に妙な宗教団体とか出て来ないし、殺人という罪の意識も持っていませんよ。

なんの部屋だったのか
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入場券と値段が違う
経営末期に遠のく客足をみて安くしたのだろうか。 しかし時すでに遅し
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向こうへ出ます。
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手前が猛獣舎か?
          
ってうォああああ!? 恐竜だァーーーーッ!!
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というのはお約束 ただの人形です。
現役時代から「恐竜がいるテーマパーク」として有名だったそうな。

リアルにみえて、実は愛らしい顔
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15年近く放置されても大して劣化していないとは地味に丈夫だ。

しかしこちらは経過した年月にふさわしい崩壊具合。
左側の立ち枯れた木はヤシの木。 …なぜか哀しい。
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どことなく牧場の厩舎に似ている
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最奥はドーム型の温室。 上の雑誌を読む限り、これがバイオカプセルか?
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七飯町にはこの形の施設がやたらある気がする。

圧倒される空間の巨大さ
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「THE地球防衛軍」のVSマザーシップ戦を思わせる。
なんとなく緊張感がある建物だが、ここも変わらず野鳥たちの楽園となっていた。

熱帯植物園のような雰囲気。
フラミンゴって臭うんだよなあ。
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月日が流れても未だに獣臭いこの建物。

建物中央部の通路
飼育動物管理用兼観察用の通路だらう


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椰子の木もサボテンも等しく枯れている。
やっぱり哀しい。
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バブルは罪だな…

其れにしてもきれいな枯れ方
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不幸な運命である。

さらに奥に何かが見える
なんだあれ? SASUKE?
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左下のフックみたいなものの正体は北海道の方ならわかるはず。
そう、室外灯油タンクです

一番奥にお約束の落書き
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比較的しょぼい。
世の廃墟にはストリートアートの展示場と化した物件も在ると聞く 恵心病院とか有名。

あらもう終わりなの? わたくしちょっと物足りませんわ
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向い側に宏大な駐車場があったが、今では無用の長物。
アスファルトのすき間から徐々に木々が茂ってきており、このまま原野に還る日もそう遠くはないだろう

澄んだ鳥の鳴き声が四方から響く、実にすがすがしい場所であった…



\マーオ/

!?

\マーオマオ/


この声は…
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いた 「マオー鳥」ことアオバト。詳しくは過去記事を読んでください。
相変らず神秘的な鳴き声だ。 廃墟にはちょうどいいかもしれん

安物のコンデジでどれくらい映るものか、上の画像を拡大してみたところ…
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あの妙な色も、そして眼まで見える!
コンデジもなかなか捨てたもんじゃない。

次回の廃墟も七飯町、鹿部町の物件を尋ねようかと思う次第