前回から引き続き、家紋調査です。
松前町の西岸部を北上しつつ、今回は赤神と静浦集落の墓地家紋を調査しました。



まず赤神集落から。

同松前町内に「白神」「白神岬」という地名がありなんらかの関連性を思わせるが、どうやらそれは先人も同じであったようだ。
菅江真澄の『えみしのさえき』にはこうある。
「…やがて、あかかみ(赤神)という浜に来た。しら神の磯(松前町白神崎)があるのにたぐえて、ここには、あか神がおられる浦であろうか。出羽の国男鹿の島べ(秋田県男鹿半島)の赤神(本山の赤神神社)とは関係がないだろうという。 
神主たちがここでうたう神歌に、「しら神のこい紅にそめいたしあか神たりといはひそめけん」とある。その祠の中を見ると、ちいさい石の臼ひとつをまつってある。これは信濃の国伊那の郡にある臼杵の宮に似たようなものであろう」 菅江真澄著、内田武志・宮本常一翻訳(1966) 『菅江真澄遊覧記2』 平凡社 287pp

このように地名の由来は不明であるが、やはり昔から白神とセットで扱われており古くは赤神明神、現在でも赤神神社として残る。



墓地は急勾配の隘路を上った先に存在する。
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しかも途中でガックリ曲がっているのだ。車で上るのは少々無理がある。

…と思ったが、地元の方は気にせず乗用車で走って居るそうだ。シンジラレナーイ。

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『菊水』
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探せば意外に見つかる高貴な家紋。
水の蛇行が雅のポイント。


使用家は高橋さん




『丸に剣花角』
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花菱の一種、花角の派生家紋である。
松前~上ノ国には剣花角、剣花菱が多い。

それにしてもうーん、写真がみにくい。


使用家は寺沢さん。




『枝牡丹』
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家紋辞典には記載があるが、枝が一つ少ない。 比較的新紋なのだろうか。
なんともオシャレな紋だ。

使用家は堀川さん




『竹輪に三枚笹』
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丸も竹で統一。すがすがしくある。


使用家は阿部さん





この墓地の珍苗字

兜谷(かぶとや) 北海道に多い。
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墓周辺の畑は、もはや定番。
お年寄りにお話を聞くには最適な場所なのだ。 雨の日以外ならほぼ確実に農作業をしていらっしゃる。

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上述の坂道の話をしてくださったおばあさんは、毎日畑仕事をしに通っているせいか途中で息切れしたことがないという。
た…体力のスケールで…負けた。それもバアちゃんにッ!





続いて静浦集落。

『角川日本地名辞典』によると、静浦の名は「昭和15年~現在の行政字名」となっており、近代になって使用され始めた地名であることがわかる。
もとなんと言ったか記述がないが、自治体としては元小島村、さらに昔は小島村大字雨垂石村であったそうだ。



松前町西岸部でこの墓地はもっとも国道に近く、車のアクセスがしやすい。
元は他の場所の様に坂道の上にあったものが、バイパスが通ったことによって今の位置取りになったのだろう。

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『五瓜に違い鷹』
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寄木家紋かと思ったが、瓜の項に個別収録されている。
なんらかの由緒があるのだろうか。

使用家はご覧の通り、石山さん




『二つ穂変り抱き稲』
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なんともヘンテコな名前だが、稲紋の一種。
稲丸紋は数ある家紋の中でも特に変種が多く、項目にすこし眼を通すだけで「変り」「変り」「変り」と、それはそれはわけのわからない事態が起こっている。

それでも未収録の稲丸紋を続々発見できるあたり、「辞典」の限界を感じる。


使用家は鈴木さんではなく、沼倉さん。
宮城に多く、次いで北海道にも多い苗字だ。




こちらは屋号。

讀み方は不明。
形からして…「カサ」か?
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使用家は浜田さん。




松前の市街地を過ぎた後から上ノ国の中心部に入る迄の約50キロ間、ここしかコンビニがないので注意せられたし。

…私はひどい目にあいました。



今回尋ねた墓地の場所です。

赤神集落墓地


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静浦集落墓地


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