法幢寺(ほうどうじ)は福山城北の寺町に位置する曹洞宗の寺院で、長年にわたって松前家の菩提寺をつとめた。

 三門
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 創建、再建の時代については諸説あるが、寺伝によれば文明2(1470)年に若狭国出身の宗源和尚が当時松前にあった大館に開創したとされている。
 大館がアイヌに責められた際戦災にかかって焼失したが、天文14(1545)年、松前家三世義廣が再興させて以降は松前家の菩提寺として藩と蜜月関係を送った。その後、明治元(1868)年の箱館戦争で法源寺と同じく戦火にかかり二度目の焼失を経験し今に至る。
 ただ三門は焼失を免れたそうで、天保9(1838)年の建立だとか。

 その墓域は本堂の西側で、隣接する龍雲院の墓地との境界が曖昧だったためこちらも一緒に取り上げたい。
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 龍雲院は松前家七世公廣の正室桂子の発願で、寛永2(1625)年に創建された曹洞宗の寺院。早世した長子兼廣の冥福と、次子氏廣の無病息災を願ってのことだったという。
 松前城下寺町にあった古刹は例によって箱館戦争の戦火で焼かれ、後退するものも多くあったがこの龍雲院は現在残る五つの寺のうち唯一焼失せず、当時の姿を残している。
 そのため平成4(1992)年に重要文化財に指定され、庫裏、土蔵など当時の住宅、伽藍建築の遺構として貴重であると評価されている。

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 門の前にこんなものが。
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 三界萬…霊だと思うけどこの字は何だと思って調べたところ、「霊」の異字体で中国でよく使われているらしい。
 
 長ったらしい前枠もそろそろ終わりにして、本題の家紋のほうへ行きたい。

 ・高崎扇
P1140997 高崎扇 高崎松平家
 高崎松平家の家紋。 松平とはいっても徳川家直接の親戚というわけではないらしい。
 
 使用家は村岡さん。

 ・丸に結び四ツ目
P1140995 丸に結び四ツ目
 普通の『四ツ目』との違いは一本の線が繋がって文様が構成されていること。
 珍しい派生形で、道南では現在この一つしか発見できていない。

 使用家は佐々木さん

 ・丸に竪木瓜
P1140981 丸に竪木瓜
 丸がなければ『堀田木瓜』というらしい。

 使用家は戒名のみの刻字だったため不明。

 ・菱九曜
P1140970 菱九曜
 みたまま九曜紋が菱形になったもの。
 なんとなく葡萄か団子に見える。

 使用家は加藤さん

 ・丸に対い?
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 鶴にも見えるが、鳩や雀にも見える不思議な紋。
 拓本を取れば確実な判断も可能かもしれない。 

 使用家は岡本さん
 墓石に「初代岡本時藏源長義」「興姓院殿大圓儀光居士」「安政四丁巳年十月二十七日」とあり、これは村上系松前家にあたる松前家家臣岡本時藏の墓であった。

 ・丸に分銅
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 同町内の法華寺か正行寺にもあった家紋。それ以外では見かけた記憶がなく、関係があるのかもしれない。

 使用家は布谷さん。

 ・丸に?
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 彫りが粗く判別しにくい。 菊か薺か。

 これも戒名のみの刻字であったため使用家不明
 
 ・八角に違い柏
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 松前城下に『違い柏』は割と多い。
 というよりも道南に普遍的に存在する。

 使用家は中村さん。

 ・丸に茶の実
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 おなじみの橘のショボゲフン親戚のような家紋。
 私はノルドの民なので茶の実はおろか実物もよく見たことがありません。

 使用家は進藤さん。
 道南では茶の実を使用する家の苗字に進藤をよく見かける。そういう氏なのだろうか?

 ・五鐶に花菱
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 おそらくこのあたりは龍雲院の墓域と思われるが、江戸時代のお墓に混ざって比較的新しいお墓も多い。

 使用家は佐々木さん。

 ・丸に半車
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 以外に珍しい家紋。 道南には源氏車の派生型があまりないので…
 車の外周部にある線が太くて独立していると『生駒車』というらしい。

 使用家は不明。

 ・日の丸扇
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 佐竹扇も同じような意匠だが一体何が違うというのか。
 辞典を確認すると地紙が大きい方が日の丸扇に見えたのだが… よくわかりません。

 使用家は横山さん。

 ・庵に中陰菱
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 『庵木瓜』以外で庵を使う家紋を初めて見た。
 積み木にような意匠。このなんとも言えないNHK教育感。(今はEテレって言うんですよ?)

 使用家は工藤さん。
 工藤さんは『庵木瓜』を使う氏の代表的なものなので、この家はその分家にあたるのではないだろうか。

 ・丸に橘
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 萼が主張しすぎィ!
 『日本家紋総鑑』で確認してもそれらしい別種は確認できなかったので、石工のそういう趣向なんだと思うことにする。

 使用家は齊藤さん。

 ・軸付き上がり藤
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 普通の上がり藤との差は軸が花房と繋がっていて線が柔らかめなところ。
 上がり藤よりなんとなく雅ね。(なんだそりゃ)

 使用家は太刀川さん。

 ・右三つ丁子巴
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 松前城下にいくつかある『右三つ丁子巴』の一つ。
  
 使用家は明石さん。

 ・六本源氏車
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 源氏車のちょっとした派生型。
 基本系のほか七本、九本、十二本などがあるが道南での割合は
 八>>>>>六>七>>>>>>>九=十二 といったところ。(九と十二が未だに発見できてないのは内緒よ)

 使用家は榊原さん。

 ・サカキ
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 文字紋の一つ。
 家紋と言うより屋号か?

 使用家は…すみません、メモ取り忘れました。

 ・秋田扇
P1140975 秋田扇
 その昔東北を支配していた安東貞季が後鳥羽天皇から賜った檜扇と、たまたま高麗から大鷲の献上があったのを記念してつけた家紋らしい。
 その脈を継ぐ秋田氏が使い、また祖を同じとする下國氏も使用した。下國氏は戦国時代から今の上磯、函館附近を治め、松前藩時代は松前家家臣であったので現在でも道南では一定数存在する苗字である。
 上ノ国、上磯あたりにいくと多い。家紋は全然違うけど。
 
 こちらの使用家は下國さん。


 ところで、法幢寺の墓地を歩き回っているうち古銭が落ちているを見つけた。 P1140971
 場所も場所なのでこれは六道銭ではないだろうか。

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 普通の寛永通宝です。鉄銭だけど。

 こういうものが発見できるのも、古い土地ならではである。


 以下、墓地の場所です。


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