今回から家紋調査は2012年10月に行った江差町から厚沢部町にかけての分になります。

良く晴れた秋の一日だったが、まさかまとめるのが一年と半年後になるとは… いつでも自由に更新ができていいことだと思うことにします。
最初の調査地区は江差町の最奥、沢辺に位置し稲作を主幹産業とする開拓集落の典型とも言える土地。鰔川地区。
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この地名随分なじみのない漢字が使われいるが、これで「うぐいかわ」と読むそうな。 なかなか難読…って、ちょっと待て。漢字字典で調べてみたがこの字は本来「カレイ」と読み、どうやっても「ウグイ」とは読めない。そこで「ウグイ」と読む字を調べてみると「鯎」と出て来た。
「咸」と「成」… 失礼だが誤字がそのまま定着したんじゃないのか?
『角川日本地名大辞典』によれば、天保5(1835)年の『天保郷帳』には目名村の枝村としてこの地名が載っているとあり、現物、またほぼ同じ年代にあたる『松前福山・函館・江差三ケ所附東西村調』を読んだところ確かに「鰔」の字が使われていた。 
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それ以前のものがどうなってるかは不明だが、最初からこの字で「うぐいかわ」と読んでいたということなのだろう。 間違いだが間違いではない…うーんややっこしい。ちなみに地名の由来は松浦武四郎の『廻浦日記』によればアイヌ語ではなく、「ウグイがたくさんいる川」ということで「うぐいかわ」とついたそうな。


道路沿いに集落を進むと大きなトタン屋根の農家が立ち並んでいる。 檜山の古建築をまとめた写真帖を読むと往時は藁葺き屋根の納屋や家だったようだが、立て直さずに屋根を葺き替えただけなようなので比較しながら歩くのもいいかもしれない。

しばらく行くとお堂らしい建物があり、その奥が墓地になっていた。

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どことなく雰囲気が内地に似ている。以前住んでいた京都の山奥にこんな場所があったのだ。

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さて本題。
・丸に笹竜胆
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どこの墓地でも必ず一つは見かける家紋。
使用家は栗田さん

・丸に若根笹
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根笹との違いは中央の根が枝分かれしているかそうでないか。
枝分かれしているのが根笹で、そうでないほうが若根笹。
使用家はこちらも栗田さん

・丸に雪持笹
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笹系家紋が多い墓地だこと。
こちらも使用家は栗田さんなので、そういう家系なのかもしれない。

・丸に二つ引き
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こちらもどこの墓地にもだいたい一つはある家紋。
使用家は藤田さん

・丸に土岐桔梗
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通常の桔梗紋と比べて花弁部分がサトイモ科の植物の花のような反りがついてるのが土岐桔梗の特徴。
使用家は長内さん。

多くのお墓に画像のような素朴な彫りの石仏が一緒に置かれているのもこの墓地の特徴だった。


最後におまけ
珍しい苗字、臺坂さん

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「臺」は「台」の旧字で、これはさらにその異字体。
この墓地では3軒ほど見られた。

これと言って珍しい家紋を採取することはできなかったが、雰囲気が非常に良い場所なので機会があればまた来たい。
農家さんの写真も撮影したいし。

今回の墓地の位置情報です。

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