みなさま新年あけましておめでとうございます。(まだ1月なのでギリギリセーフ)
2017年中も平生、旅中、イベント等々、大変お世話になりました。2018年もより一層激しい廃墟探索と調査と薄い本執筆に邁進してまいりますので、何卒よろしくお願いいたします。お前去年一回も廃墟更新しなかったよな。
さて、年始に先立ちまして、昨年の2017年で行った主な廃墟探索・活動について、おおまかに写真を交えつつまとめておきたいと思います。要するにヘッダーに書き連ねている「最近のお知らせ」を、半備忘録的な記事になります。
他では公開していない蔵出し画もございますってよ奥様。 写真だの調査結果だの、ついったらんどに流すばかりでろくにこっちは更新できてないので、これくらいはさせてください。
- 1月
冬コミで和賀川発電所本頒布からわずか数日。正月から四国廃墟旅へ乗り込む。
朝日を浴びつつ富士山や紀伊半島の送電線を見下ろす気持ちのよいフライトの後は、久しぶりの四国を味わう3日間を過ごしてきた。
冬場は陽が短いので長丁場の旅には向かないのだが、廃墟は待ってくれない。いつ壊されるかわからんのですわ。太陽高度が低いおかげで廃墟写真が撮りやすいのはありがたいけど。
・ドロイド医院
家に帰ったあと、こちらの廃医院の本丸が別にあることを知り、歯が砕け散りそうになってたのは内緒。
・華麗なる廃洋館
- 2月
仕事で札幌出張になったついでに道北~道央真冬廃墟旅を敢行。
久しぶりの雪山行軍に、幼いころひたすら家の裏山を歩き回っていた記憶を思い出していた。
・三井美唄炭鉱
この旅での大きな収穫は、21世紀の北海道でも木造廃医院の残存が発見・確認できたことだった。風雪に見舞われるこの北の大地で、木造建築の古い廃医院なんて2000年代で全滅したと思っていたからだ。それでも諦め悪く、自分の三大廃墟目標の一つに「北海道で木造の廃医院を見つける」を設定して探し回っていたので、もう感無量以外の何者でもない…。
翌週には、知人の母校の卒業展示を見に行くついでに、千葉県房総半島廃墟旅を挙行。
2月だというのに菜の花が咲く房総の気候に北国の民涙目。先週雪山でエラい目にあったばっかりですよこっちは。
・人参湯
この旅では嬉しい出会いが多くあった。
たまたま立ち寄った近代建築の中が、「金田屋リヒトミューレ」さんという時計屋さん兼骨董店として営業しており、私好みの品が大量に置かれていた。週一で通いたいんですが…
こちらが店名にもなっているリヒトミューレ。
別名ラジオメーターともいい、光に含まれる赤外線を浴びると、ガラス管内の羽根板が暖められ、周りの空気に動きが生じる。この空気の流動による反作用により、羽根車がくるくる回るというものなのだが、はた目から見れば光が当たると勝手に羽根車がくるくる回っているように見え、ファンタジー科学な物体に感ぜられる。
店主さんと奥様の人となりも優しく、現地だけではなく千葉県内の情報までよく聞かせてもらった。本当に月一で通えないのが残念な店であった。…千葉移住しよっかな(は?)
- 3月
夏コミ用、尾去沢鉱山の資料集めも兼ねて、北東北廃墟旅。やはり現地での資料集めと実測調査には何もかなわない。
・尾去沢鉱山(真冬)
ほとんど尾去沢にひきこもってしまったが、東北の古い町並みをまわる心安らぐ旅となった。秋田県内は古い造り酒屋が並ぶ町が本当に多い。お土産に地酒を買っていたら、何本提げて帰ることになるかわからんくらいに。
- 4~5月
連休を最大活用し、山陽から山陰をまわりつくす中国地方一大廃墟遠征を敢行。
廃墟、近代建築、珍しい物… まわった数はおおまかに数えても実に200箇所以上に及んだ。気がくるっとる…!
・博士の邸宅
しかし、それでもまわりきれていない物件がまだまだあるというのだが恐ろしい。
終わりなき行程との戦い… 修羅道かな?
- 6月
3月に続き、さらなる資料集めを進めるため青森秋田山形廃墟旅。その成果は、夏コミにて。
今回は廃墟よりも近代建築探しがメインとなった。
・松野医院
翌週には北コミティアを兼ねた道東廃墟旅へ。
北コミティアでは前冬コミで頒布した和賀川発電所本が好評を呼び、やる気を充電。
さらに、その足で向かったのは某映画と某新聞の今年が見納め詐欺で一躍有名になった旧国鉄士幌線タウシュベツ川橋梁である。
当地は北海道の中でも秘境に含まれる土地であり、人よりもヒグマが住むのに適した場所だ。もし行かれる際は、最大限の注意をされたし…(コンビニに買い出しに行くような格好で林道を歩いている人もいるそうで、付近のガイドさんは困り果てているそうな)
- 8月
数回に及ぶ現地探索と調査を経て、ついに尾去沢鉱山本を発行できました。現地の方を始め、各研究機関の皆様など、協力していただいた方々にはまったく頭が上がりません。
当日の詳しい様子はこちらからどうぞ。
http://hanatare-ruins.doorblog.jp/archives/51949820.html
また、いつものついでになってないついで廃墟旅として、真夏四国旅も挙行。
・氾濫廃校
・「ちくしょう。眼医者ばかりではないか」な看板
北国の人間に、内地の本気の真夏の暑さを体感させてくれる四国に汗も涙も止まらない日々であった。気温35度湿度80%ってなんですかそれ。
・ドロイド医院(再訪)
1月の取りこぼしとなった廃医院の本丸にもきっちり行って来られました。これで心残りはない…今回はな!
- 9月
シルバーウィーク(全然シルバーじゃなかったけど)を使って、またしても中国山地廃墟旅をする…つもりが、あの台風18号のせいで急遽、懸案としていた石川富山へ行き先を変更する事態に。
・三波簡易郵便局(現役です)
千里浜海岸
固く締まった砂浜のため、一般車が普通に走られる公道として整備されている世にも珍しい場所。
結果的に読み通り北陸は台風の雲がかからず終始晴れた。ざまぁ。
また、いろいろと面白いものを発見し、廃墟旅では珍しくいいお食事にいい旅館を満喫し、オイシイ想いをできたので良かったのだが、本来行く予定にしていた広島県のある廃医院が12月ごろ取り壊され、ついに探索することができなかった。
「俺は警視庁の台風18号を絶対に許さない」
- 10月
道東へ秋の廃墟旅。
何を思ったか、この日は20時間不眠不休ぶっとおしで1000キロを走るという超弾丸ツアーに仕上がった。
・旧国鉄白糠線上茶路駅
10月は北海道ではすでに秋も深まった時期。2017年は紅葉の当たり年であり、大雪山系や阿寒の紅葉は見事の一言であった…。
・雌阿寒岳
- 11月
横浜で知人の個展があり、その翌々日に北コミティアがあるため、なんとか知恵を絞って函館→新千歳→東京→横浜→千葉→東京→新千歳→札幌→函館という意味不明な旅を挙行する。
そうでもして見に行きたかった横浜の個展とは、その手の好事家の間では大きな話題となった「横浜衛生展覧会」
江戸時代末期から昭和中期までの主に近代医療系史料を所狭しと並べたコアな展示会だったのだが、これがなんともおもしろかった。元ネタは現実に明治時代から昭和にかけてたびたび開催された「衛生展覧会」であり、当時出品されていたのと同時代の奇形児関係資料や当時最新の技術を使っていた医療器具、薬品、標本。また今から見れば怪しさ満点な医療?グッズを一堂に集めた内容である。そんなの見に行かないわけがないではないか!(中は撮影禁止だったので写真はないです)
初日から挨拶もかねて訪問し、小さな展示スペースで軽く2,3時間はつぶしてしまった。
ワシの収集品が足元にも及ばねえ… 頑張ろう。
ちなみに場所は横浜中華街のド真ん中。しかし、奥まった場所にあるため賑わいも雑踏も聞こえず、まるでそこだけ異世界に入り込んだような雰囲気になっていた。計算された演出だったら…すごい。
行程に1日余裕を待たせていたので、廃墟探索もいくつかしてきた。
・タイムカプセル駄菓子屋
特にここは大当たり…だったが、再訪したら荒らされまくっていた。つらい。
そして行程の最後は北コミティア。前回好評をいただいた『Focusite No.01 和賀川発電所』がなんと会報誌兼カタログのティアズマガジン巻頭に掲載されるという名誉をいただき恐縮しきり。
また、いつにもまして横のつながりが芽生えるというありがたい機会となりました。
北コミティアは非常にアットホームな雰囲気の即売会であり、何度でも参加したくなりますね。午後2時から配布されるスペシャルドリンクが一度も確保できたことないので、いつかは…。
- 12月
年末の山場、冬コミです。初の早期入稿を完了し、万全の態勢で挑みました。
内容は当サークル初になるフルカラー廃墟写真集。お隣が現在廃墟系サークルで最大手となる廃墟探索部さんで非常に心強くはありましたが、正直自分がこの内容で受け入れられるものか不安しかありませんでした。
しかし、結果は大変ありがたいことに完売!!!
調査的な文を載せない本格的な写真集同人誌として、どれだけやれるかを試したつもりでしたが、自分が一番驚いています。 写真の腕はまだまだからっきしです。これに満足せず、より精進していきたいと思います。目指せ、お隣さん…。
本が気になる方はこちらからお願いします。CIMIC ZINさんで通販・店舗委託販売中です。
http://hanatare-ruins.doorblog.jp/archives/51958779.html
…と言った感じで、2017年は以上のように生きさせていただきました。
そして、その足で早くも2018年廃初めをしてきたもよう…。冒頭でも挨拶させていただきましたが、本年も全力で廃墟してまいりますので、重ねてよろしくお願い申し上げまして、2018年の始めとさせていただきます。
色々よからぬ野望も考えているようなので、実現できるようやっていけたらいいなと思います。
それでは、また近いうちにお会いしましょう…。
PS.編集していて改めて「こいつ旅行行きすぎ」って思った。
解体の虞を常に背後に感じつつ、急かされる様に各地を巡っておられるのでしょうか。北海道を舞台にした某人気ドラマで〇中邦衛氏が
『やるなら今しかねぇ』
と自作のメロディに乗せて歌っておりましたがそれを思い起こさせます。ある種、焦りつつもそれを楽しんでおられるからであります。
探索に憧れ、楽しみ。そして数日もすれば又行きたいと駄々をこねる童子の様な筆者に共感を覚えた廃墟愛好家も少なくないことでしょう。
今年も遠くない将来、去り行く廃墟に別れと再会の挨拶を伝えに行くお姿をツイッタランドを通じて拝見したいと思います。
『この稼業多少の無理はご愛嬌』(←NHK心の川柳)
です。とはいうもののお身体を大切にお過ごし下さいませ。遠くから見守っております。